N.S.F.の伊藤馨です。
本業は舞台照明のデザイナーをしています。
演出家や製作がメインのお仕事ではありません。
なんで、照明さんなのにこんなユニットを作って、公演を続けているのか。
blogも正直ネタ切れなうえに、稽古も今日はおやすみでした。
なので、今回はなんでこんなことをしているのでしょうか。
ということにフォーカスを当ててみようかと思います。
さて、僕の本業のもう一つはワークショップを行う団体のマネジメントディレクターをしています。まぁ、人を手配したり、お金を工面したりなんていう仕事です。
当然、ワークショップも年間100本以上関わります。
時には、自分もメインで講師をやったりもします。
また、高校でも演劇の授業に関わっていたりします。
それと関係があるんだけど。いないと思うけど、初めての人のためにも、一応公演情報も少しだけ。
■N.S.F.『マクベス』
戯曲構成 村野玲子(NICK-PRODUCE)
チケットはこちらからどうぞ。
●チケット取り扱い先
Web購入:http://www.momouta.org/main/
e-mail: haru-cafe2015@softbank.ne.jp
Phone: 080-9676-3553 ※各公演日の前日まで
FAX: 03-3314-2446(ウィンドミルオフィス) ※4月22日 22時まで
メール・FAXでのご予約方法
(1)お名前 (2)日時・枚数 (3)ご連絡先電話番号
(4)メールアドレス(あれば) をお知らせください。
受付終了後、確認のご連絡をいたします。
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本業の照明以外のお仕事で主にやっているワークショップが、結構ストレスが溜まります。それはなぜかというと。照明のスタッフという仕事を選んでいるのは、これは、とてもクリエイティブな仕事だと思っているからです。
一方で、このワークショップや授業は、自分自身の創作ではないってことが大きいです。自分が創作をするために演劇に関わる仕事をしているのに、人が創作をしているのを補佐したり、リードしたりして、決して自分自身の創作にならないように自制をし続けなくてはならないからです。
このストレスを溜めていって、これをどう扱ったらいいのだろうか。って思いました。
照明の仕事っていうのは、照明が先行でお仕事ができません。なので、都合よく、そのストレスを発散するための場所を用意は出来ません。
では、演劇を作ってしまえばいいんじゃないだろうか。
って思ったわけです。
そして、たまたま、戯曲を書いてくれる人、音楽をやる人、歌ってくれる人、演じてくれる人。人材もなぜかあっという間にそろってしまいました。
これはやるしかないや。
と、始めたのが、そもそもの始まりです。
でもね。演出をするつもりは最初はさらさらなくてですね。
なので、最初のチラシを見ると「企画 伊藤馨」って書いてあります。
とりあえず、戯曲と音楽と俳優を集めて、これで材料があるからやりましょうか。って、言ったら、みんなに怒られました。
演出家は必要です。責任を取りなさいよ。ってなわけで、演出もすることになりました。それが、一作目の「じゃじゃ馬ならし」です。
ここで、一作ずつ振り返るのも野暮な話なので、やめましょう。
ま、そんな怒られながら始まった一作目から、変わらないコンセプトがあります。
「いい大人が汗かいて、悪ふざけをしよう」
です。
言うと簡単だけど、これが意外と大変です。汗かいていればいいわけでもなく、悪ふざけをするにしても、内輪受けになってしまうかもしれないから、それも気をつけなくてはならない。どうしよう。
って、一瞬、悩んだんですけど。メンバーがみんないい大人なので、一生懸命悪ふざけをしていれば、きちんと外に発信できるものになるし、それに子供たちに教えている時も外の人に見せることだけを考えるのではなくて、創作をする楽しさを大事にしてものを作っていくように言っています。
子供たちに出来ることは大人も出来るわけで、むしろ、そういうことのスペシャリストだからワークショップに行っているのだよな。と思いなおしました。
創作の過程で、お互いをきちんと尊重しつつ、創作そのものを楽しみつつ、クオリティを上げていく。ごくごく当たり前の創作現場の原則ですけれども、このことを大事にして、年齢や経験の多寡にかかわらず、現場においてはしっかりフラットな関係を築いていくこと、思ったことをなるべく自由に言える環境を作ること。
そういうことを大事にしながら、作品を作ろうと思っています。
あと、なんでシェイクスピアばっかりやってるのか。
シェイクスピアって名前は聞いたことがあるけれども、よく知らない。とか。知っているし、観たこともあるけれども面白くなかった。そんなことをよく聞きます。
また、日本の演劇は大仰に言えば、戦後から始まっていて、それ以前の舞台の世界観。つまり能や狂言、歌舞伎という伝統的な芸能とは隔絶しています。その代りに共通のものとして、僕ら持っている価値観は西洋演劇が土台に色濃くあります。
と、えらそうなことを書きましたけど、実際には自分が好きで脚色をしやすく、物語の幅も広いから選んでいるだけです。
しかも、シェイクスピアをドリフの文脈で読み直す的なことをしているわけです。
ちょっと脱線しましたけど、少しでも古典を身近に感じてもらえればなぁ。とか、演劇を作る楽しさっていうのを忘れないで創作がしたいなぁ。なんていうことが、今のN.S.F.を作っていると言ってもいいと思います。
blogで見るとごはん食べてばっかな気もしますけど、稽古は真面目にげらげらやっています。
少し真面目な話をします。
国際情勢の中の日本の位置は非常に危ういし、様々に悪用可能な法律がじゃんじゃか出来上がっている世の中で、芸術が持つ力や効用として、自分の位置を確認したり、自分とはなんぞやという根源的な問い、また、それによって生まれてくる自意識は、人が生きていく上でとてもとても重要なことです。
今の政治や経済、社会情勢に対してのアンチテーゼやカウンターとしての演劇という芸術の扱い方もあるでしょう。
でも、僕はそういうことの前に必要な大事な力が足りなくなっていると思っていて、それは「人が人に対して興味を持つ」という力が極端に落ちているのではないかと思います。
僕がやっているのはお笑いの演劇です。
笑うというのは、ある種のしきい値を超えたものを受け入れる行為の一つだと思っています。
受け入れることというのは、それがどうなのかという判断をするためにしなくてはいけない大事なことであると思っています。
僕が僕のお勧めの劇作家、俳優、音楽家を集めて作った作品を作っています。
全員、この人でなくては出来ないものを作ってもらっています。
そんな僕が作ったものが、もしかして明日を生きる力や明日を見る力にならないかなぁ。
と、期待して作っています。
マクベスをやっていますけど、やっているのは今の世の中に転がっていることばかりが詰まっています。もしかしたら、いつの世の中にもあることなのかもしれません。
その今の人の姿を全力で作っています。
それはこの公演を観に来てほしいからということもあるかもしれませんが、メンバー全員の生きている証の一つになることだからだと思います。
別段、興味がわかなくて、観に来たいと思わなくてもいいけれども、どうか少しでも芸術というものに触れる機会を持ってもらえないだろうか。と切に願って作品作りをしています。
そんなね。大仰なことを言っていますが、中身は笑いものです。
もしも、気が向いて観に来ることがあれば、どうか笑いの向こうに何かを見てもらえると(もちろん、それは作り手のエゴですが)とてもうれしいです。
最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。
もう少しだけ、下記が公演詳細です。
■劇団桃唄309 + N.S.F. + 東京オレンジ
■短編劇集 volume 8 春カフェ 『健康いろいろ』
2015年4月23日(木)~26日(日) 東中野/RAFT
タイプもいろいろな3つのカンパニーが、健康にまつわる諸々を、見応えたっぷりの短編としてお届けします。
A,B,Cの3つのパートを順繰りに上演します。
カフェコーナーで喉をうるおしつつ、ゆったりとお楽しみください。
●料金 2000円
●タイムテーブル
4月23日 20:00 A
24日 18:00 B 20:00 C
25日 15:30 A 17:30 C 19:30 B
26日 13:30 C 15:30 B 17:30 A
三つのチームに分かれて、作品上演をします。
僕らの演目はBです。
他の演目も見ると、そっちはなんと500円引き!
●公演情報
http://bit.ly/201504cafe
※おまけコーナーは、
1) ジェストダンス
2) トーク
回ごとにどちらか!
※ジェストダンス: 桃唄309が来年上演予定の、ハンセン病を題材にした長編劇。その構想をもとにした、歌と新作ジェストダンスをお届けします。
振付 西山水木/明樹由佳 作詞・作曲 長谷基弘
出演 西山水木/成本千枝 歌 竹田まどか
詳しいスケジュールは公演サイトにて順次発表いたします。
【A】
◎桃唄309『202X年、帰ろう』
戯曲・演出 長谷基弘
かつて、業病とされる病気がありました。かかると強制隔離され、断種され、治ったあとも偏見にさらされ・・・・・・。ぼくらは、その療養施設だった小島を題材に、劇をつくることになりました。
→石坂純(劇団ひまわり) 竹田まどか 森田匠(トラッシュマスターズ) 高木充子 佐藤達 國津篤志 山西真帆
◎『かみしばい』
毎度おなじみ佐藤達の紙芝居ライブ
→佐藤達
【B】
◎N.S.F.『マクベス』
戯曲 シェイクスピア
企画・演出 伊藤馨
戯曲構成 村野玲子(NICK-PRODUCE)
あの有名なスコットランドの男の話です。でも、本人は出てきません。相変わらず。
→中嶌聡 近藤ミキヲ 齋藤真 綾田將一 小林あや
◎桃唄309『白い服のあの人』
戯曲・演出 長谷基弘
毎晩毎晩あの人が夢のなかに現れて、私に体操を強要するんです!
→佐藤達 國津篤志 中野架奈
【C】
◎東京オレンジ『”オレンジ茶”いかが? How do you like a cup of “Orange Tea”?』
構成・演出 横山仁一
「健康」をテーマにいくつかのコント素材を構成してお届けするオレンジ版茶番劇=”オレンジ茶”
→横山仁一(24,25のみ)、柳田幸則、井場景子、三谷杏奈
小林至(双数姉妹)、中村靖(双数姉妹)、吉田雅人
◎桃唄309『お見舞い、もしくは黒い三角形』
戯曲・演出 長谷基弘
病院の喫煙所という不謹慎な場所で、ぼくはあの人に出会った。
→小山貴司 五十嵐ミナ 山西真帆
●料金<日時指定・自由席>
予約・当日 初回2,000円/2回目以降1,500円
※例えばAとBのコマをご観劇いただくと、3,500円になります。
※小さな会場ですので、なるべくご予約ください。
※連続してご覧いただく場合、予約の方が優先となります。
〒164-0001 東京都中野区中野1-4-4 1F
Phone: 03-3365-0307